平成15年度は、光センサとしてCCDレーザ変位センサを2脚歩行ロボットに実装し、床面と腰部の相対位置関係をリアルタイムに観測利用できるよう歩行制御システムを構築した。また作業座標系における絶対位置情報を、2脚歩行ロボットに存在する運動学的な冗長自由度を利用した運動に活用するための制御手法の基礎的な検証と提案が行われた。 歩行運動の信頼性向上の観点から、実施計画に基づき床環境との相対関係に応じた歩行パターンの生成指針とその評価に関する実験結果の蓄積と解析を行った。その結果、光センシングから得られる床との相対関係を脚ロボット自体が自然に持つ機械剛性と関係付けることにより、安定歩行軌道生成に不可欠である床反力情報が獲得できる点に着目した。これは内界カセンサやジャイロ、加速度センサ等に基づく歩行安定化の限界を補う上で非常に重要であり、また視覚的情報と力覚ベースの歩行安定性の関係付けにより歩行信頼性向上の本質的な意味を持つ着目すべき点であると言える。またその発展としてセンサ多用の回避、あるいは耐故障性を有する制御系構成へと展開可能である。 そこで第一段階としてモーション制御系レベルで減速機の軸ねじれ等の機械剛性を積極的に取り扱うために、光センシング(PSDセンサ)から得られる作業座標系における絶対位置とエンコーダからの内界位置の双方からロボット自体の軸ねじれやリンク部のたわみを算出し、これに基づく多自由度ロボットの位置・姿勢制御系の構成を提案した。本提案における有効性の確認は、3自由度の冗長マニピュレータを用いた実験検証により行われた。 15年度末までに、提案手法はレーザ変位センサを実装した2脚歩行ロボットへの適用が行われ、ZMP(Zero Moment Point)を安定な位置へと修正する脚位置・姿勢制御系としてその有効性を確認するための実験データの蓄積が行われた。
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