研究概要 |
世界的に,これまで研究されてきた機械システムは,機構を剛体と仮定することを基礎として発展してきた.剛体と仮定することにより,運動学問題・動力学問題が容易に解けることがその理由である.しかしながら,実際の機械システムは完全な剛体であることは不可能である. 一方,近年「生物型機械」の研究が盛んにおこなわれており,ヒューマノイド型ロボットに代表される形態重視型機械が我が国を中心に多く見受けられる. 以上の2点を基礎とし,柔軟かつヒトにヒントを得た機械に本研究では着目する.その具体例として本研究は「ヒトの舌をモデルとした多自由度柔軟機械の研究」を目的とする.ヒトの舌の役目には発話・咀嚼・楽器演奏その他があり,その柔軟性には注目に値する可能性があると研究代表者は考えている.そこで本研究では舌に着目し,その運動をシミュレート可能な機械を構築する. 現在までにヒトの舌の動作の基本動作の解析を進めている.これはヒトの舌にマーカーを付着させて,毎秒30フレーム以上の高速カメラで舌の動作を解析するシステムである.これに引き続き平成15年度は,柔軟機械の設計の基礎部分を構築するために,ヒトの舌の可動範囲・運動速度・発生力を定量的に計測した.加えて,多自由度機械の駆動部分を構築した.具体的には,多自由度ロボット制御装置を用いて多自由度ワイヤ駆動機構を制御する駆動部分を構築した.さらに機構案を基礎とした多自由度柔軟機械のメカニズムを構築した.
|