群ロボットの通信中継動作によって空間に伝播する通信の伝播様態について伝播が整っている度合いを示す有効な指標を得ることができた。これは局所的な通信伝播方向を流れのベクトルと見なし、これをつなぎ合わせることで仮想的に流線を導出し、その吹き出しカ所数とそのカ所へ収れんする流線の量から得られた。この指標により、通信伝播の時間的変化を評価することができるようになり、空間の大きさ、ロボットの台数と通信の伝播様態の関係をコンピュータシミュレーション実験から明らかにすることができるようになった。その結果、空間に対するロボットの台数密度に依存して通信伝播が乱れる現象が起きることが分かり、通信の伝播速度を制御することで、空間の広さにかかわらず、この乱れを抑制できることが分かった。 また平面物体の周囲にロボットを密接させた状態で通信伝播を行うと、物体周囲を周回する通信伝播が行われることを確認した。この通信伝播は1回の通信到達距離内に複数のロボットが存在することから、複数台のロボットが同時に送信動作を行うようであった。そして1回の通信の到達距離を無限の距離に設定しても、平面物体周囲の起伏形状に依存して、同時に送信動作を行うロボット台数は変化し、その台数の時間変化は平面物体の形状に固有であることが示された。この台数は平面形状の曲率に強く関連する量であり、台数の時間変化から平面物体の輪郭形状を復元可能であることが分かった。
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