研究概要 |
平成15年度は,「人間型ロボット実機の構築」および,「人間型ロボット数値モデルの構築」の二つについて取り組んだ.これらの概要について以下に報告する. ・人間型ロボット実機の構築 机上で人間を摸倣した様々な多自由度の運動が実行できること,ロボット自身に制御用コンピュータを塔載し,外部のコンピュータネットワークに接続できること等の基本仕様に基づくスモールサイズの人間型ロボットプロトタイプを試作した.組み立ての容易さ,メンテナンス性等を考慮し,このハードウェアは,極力簡単な部品によって構築し,これに,制御システムを実装した.制御システムは,上位レベルの処理を行う主制御ユニットと下位レベルの処理を行う副制御ユニットからなる構成とし,主制御ユニットには,開発が効果的に行えるシステムとなることを重視し,LinuxがOSとして採用されたボードコンピュータを利用した.さらに,人間とロボット間の有効なインタラクションを確立することを視野に入れ,ロボット外部のコンピュータネットワークに接続できるネットワークベース制御システムの基本部分を構築した.これらの予備実験として,静歩行の動作,ネットワークを経由したオペレータの指令に対応する単純な動作等を実現した. ・人間型ロボット数値モデルの構築 ロボットの外部に用意したパーソナルコンピュータに前述の人間型ロボット実機に対応する数値モデルを構築した.動力学計算アルゴリズムには,実時間での処理を念頭におき,対象としている人間型ロボットのようにベースが固定されていない多体系に対して,漸化的な処理によって高速な動力学計算が期待できるRosenthalの手法を採用した.この演算過程においては,各ボディ毎に加えられる外力の項が用意されており,人間あるいは,環境とのインタラクションを力情報として動力学計算に取り込むことが容易な仕組みを備えている.
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