研究概要 |
従来からの我々の研究である四肢の筋配列を模倣した筋座標系を有した二関節リンクモデルにより,二関節筋を含めた三対6筋の特性とリンク先端の位置と力および剛性の関係が理論的および実験的に明らかにされ,接触負荷においても筋座標系を有するモデルは柔軟に負荷に対応し,リンク先端の位置を接触地点から滑ることなく,その位置を負荷方向に追従させることが可能であることが明らかになった.そこで,本研究は筋座標系を有する二関節ロボットアームをもちい,筋座標系を構成する要素が作業座標系におよぼす影響を理論的および実験的な解析により,明確にすることを試みた.この解析に用いた筋座標系の要素は三対6筋の弾性係数および各筋が関与する関節のモーメントアーム,各アーム長の3つとし,すべての要素が等しい基準モデルと比較することにより,筋座標系のパラメータがアーム先端部の運動制御に与える影響を確認した.その結果,第2関節の一関節駆動要素は発生する力,第1関節の一関節駆動要素と二関節同時駆動要素はアーム先端部の位置と剛性に大きく関与していることがわかり,アーム先端部の接触負荷に対して,明確な負荷情報が無い場合でも柔軟に対応するためには,等しい第1,2リンク長,等しい第1関節の一関節駆動要素と二関節同時駆動要素を装備することが重要であることがわかった.また,筋配列を基にしたパラメータの影響を詳細に考察することにより,筋のみの効果ではなく,筋配列としての協調的な機能による効果の重要性が示唆できると考えられる.
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