研究概要 |
本研究に先立つ基礎研究では,埋込型永久磁石同期電動機(IPMSM)の制御法として比較的制御構成が簡単な直接トルク制御(DTC)に着目し,この制御法と最大トルク制御法を組み合わせた時に,トルク応答が悪化するのを防ぐ制御法を提案し,シミュレーションにより検証を行っできた。しかし,これまでの研究の結果,次のことが明らかになった。 (1)提案制御法の有効性をより明確に検証するためには,突極比の小さな汎用IPMSMではなく,特殊仕様のIPMSMを用いて実験を行う必要がある (2)期待した過渡特性(トルク応答)を得るためには,IPMSMの電動機定数の変動や検出誤差を補償する制御法の検討を要する 本研究では,上記の検証結果を踏まえ,永久磁石同期電動機の高速直接トルク制御法の有効性を実験により明らかにすることを目的とする。今年度は下記の成果を得た。 1.突極比の小さな汎用IPMSMを用いた提案制御法の有効性の実験による検証((1)関連項目) 突極比が小さいため,提案法によるトルク応答改善効果は僅かしか得られなかったが,シミュレーションと一致した実験結果が得られた。この結果は,10^<th> European Conference on Power Electronics and Applicationsにて発表した。 2.直接トルク制御装置の構成法に関する検討 直接トルク制御では,制御周期が長くなるとトルクリプルが増加してしまうなどの問題があるため,FPGAを用いた制御装置の構成法について検討した。この結果は,平成15年電気学会産業応用部門大会及び,平成16年2月の電気学会半導体電力変換研究会にて発表した。 その他,突極比の大きなIPMSMを試作し,(1),(2)の問題点を解決し,実験により堤案法の有効性を検証中である。この結果は,次年度,国内外の学会で発表し、他の成果と合わせて電気学会論文誌に投稿する予定である。
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