研究概要 |
本年度は,真空中においてトリプルジャンクションの微視的観測を実施するための環境の整備を行った。具体的には,電子顕微鏡(ELIONIX社製:EBE-302)の準備,および微視的観測を行えるよう真空チャンバの設計と準備,試料台の整備を行った。また,真空排気システムの準備も同時に行った。これにより電気光学効果による絶縁物上の2次元帯電分布の測定環境(平成13,14年度科学研究費補助金若手研究B,課題番号:13750241により整備)と試料の移動を伴わない同一環境下で電子顕微鏡により,実験前後に電子放出箇所の構造を微視的に解明できるようになる。現段階では,未だ帯電測定と微視的観察の同時測定までには至っておらず,実験装置の調整中である。 また,電気光学効果を利用した真空中における絶縁物上の帯電測定環境の整備により,本年度は,真空中で交流電圧印加時の絶縁物上の帯電分布変化を測定した。その結果として,真空中沿面放電の直前,直後の絶縁物上帯電の測定に成功し,特にトリプルジャンクション近傍での帯電分布を測定できるようになった。この結果は,平成16年9月末に開催される"ISDEIV2004 : International Symposium on Discharges and Electrical Insulation in Vacuum 2004"で発表予定(受付済み)である。 来年度は,先ずトリプルジャンクションにおける真空環境下での絶縁物上帯電測定と,SEMによるその微視的構造観測を実施する。トリプルジャンクションにおける電子放出箇所の同定には,更なる帯電測定の高感度化と空間分解能の高度化が必要である。現段階では,最小帯電電荷密度の感度は9.7μC/m^2であり,帯電測定の空間分解能は75μm×75μmである。来年度は,レンズ系の改良により空間分解能の向上を行う。また,ロックイン処理による定常的な光学的なノイズの除去を行うことで帯電測定の高精度化を行う。
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