本年度は、研究実施計画に基づき、主に下記の2項目について検討を行った。 (1)電磁石とバルク体の選定と浮上特性試験用簡易浮上システムの製作 電磁石に使用可能な銅線の長さは、励磁用電源の最大許容電流と電圧値に大きく依存する。そこで、自ら開発した数値解析コードを用いて、電磁石の形状と発生磁場分布との関連性について検討し、本年度購入した直流電源で励磁可能な電磁石の選定(形状・大きさ)を行った。そして、選定された形状や大きさに基づき、実際に電磁石を製作した。また、上記の電磁石および本年度購入した直流電源を用いた浮上システムにおいて、バルク体の浮上力・浮上安定性を効率よく評価するために、バルク体の着磁条件や電磁石の励磁条件について検討した。その結果、バルク体を磁場中冷却した後、一旦コイル電流をゼロにしてから上昇させる場合に最も浮上効率がよくなることがわかった。 (2)簡易浮上システムを用いた浮上力および浮上安定性(剛性)の評価 (1)で製作した簡易浮上システムにおいでバルク体の浮上力および浮上安定性(剛性)の評価を精度よく行うには、バルク体の位置(浮上高さなど)や傾きを正確に把握する必要がある。そこで、本年度は、備品購入費で購入した画像センサを用い、バルク体の位置・傾きを精度よく計測できるシステムの構築を行った。本システムにより、浮上高さ、浮上力、バルク体変位時の復元力などの連続的な測定が可能となった。また、直径の異なる円柱型の永久磁石とバルク体を用いて、バルク体を着磁位置より水平方向に変位させた場合にバルク体に働く復元力の測定を行い、バルク体と永久磁石の磁気剛性について検討した。その結果、バルク体が経験する磁束密度が同程度の場合には、バルク体周辺の磁束密度勾配が大きい場合ほどバルク体と永久磁石の磁気剛性が大きくなることがわかった。
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