研究概要 |
本年度は、交付申請書の内容に従って、下記の検討を行って成果を得た。 1.出力変動を評価量に加えた自然エネルギー発電用最大電力点追従制御の提唱 簡単なPI制御系を構成し、風力発電機で太陽光発電の1Hz以上の速く大きな出力変動が抑えられることを、太陽光の発電量と風速の測定データを用いたシミュレーションにより明らかにした。 2.各装置の基本特性の測定および制御に適した回路構成への改造 特に変動補償に用いる電気二重層コンデンサに着目し、その容量や自己放電特性を測定した。初期の自己放電(電圧降下)の大きさを確認し、頻繁な充放電を行う実際の変動補償時に特性を注視することとした。 3.太陽光発電の最大電力点追従制御の改良 太陽電池パネルの一部に陰がかかり、電圧-電力特性に2個以上の極大点が生じたときの最大電力点の探索能力を向上させた。条件によっては40%もの出力向上を可能とした。 4.太陽光発電と風力発電を接続し、風力発電側を出力変動抑制運転として合計の出力変動を抑えた最大電力点追従制御法の実験 現有設備の有効利用の観点から、制御に用いるインバータの代わりとしてインバータ制御PWM波形も出せる信号発生器を購入し、これを既存の高効率電力増幅器と組み合わせることとした。1.の結果を踏まえ、実験装置を整備し、制御プログラムを作成しているが、良い結果を得るには少々時間がかかる見込である。 3については既に国際会議において発表済で、1,4については来年度国際会議1件発表が決まっており、国内学会でも発表予定である。なお、発表論文リストの1番目と2番目のタイトルが全く同一だが、2番目は1番目よりも先に本年度内の発表が決定していながらSARSで延期された国際会議であり、内容として3に加えて1,4も加え、可能ならタイトルも微修正して発表する。 全体的に、計画通りに近い成果が得られ、来年度以降も順調に成果があげられるものと考える。
|