本研究は土壌から抽出されるダイオキシン類を、水素の還元反応により脱塩素化処理を行い、酸化処理では困難であったダイオキシン類の完全分解を行う。また、短パルス非平衡プラズマを用いて能動的にエネルギーを与えることにより処理速度を向上させる。非平衡プラズマであるため、イオンにエネルギーを注入することがないため、ダイオキシン類の逆合成過程が抑制される利点がある。そして、脱塩素化された塩素は塩として回収する。入力エネルギーは放電電力のみであり、安価な処理方法となり得る。この方式の検証実験を行うことが目的である。現在までに、大阪大学と共同で実験を進めており、下記の結果を得た。1.短パルス高電圧電源装置(パルス幅数100ナノ秒)を用いることにより、マイクロ秒印加時に比べ、電子のエネルギー分布が変化し、高エネルギー部分の電子数が増加した。2.電圧印加の極性を瞬時に変化させることにより、高速電子数が増加し、処理効率が向上した。3.非平衡プラズマによる水素ラジカルにより、ハロゲン化物質が還元され、水素を添加しない場合の実験と比べ、2倍以上の効率で処理できた。水素添加時の処理率50%。水素添加無しに於ける処理率25%。であった。また、水素ラジカル数密度測定装置を立ち上げ中である。これにより、水素ラジカルの依存性が測定可能となる。副生成物も同定中である。上記の装置を用い、今後、非平衡プラズマ中での水素ラジカルの効果、影響を明確にする。
|