本研究では、ワイヤの代わりに、μmで加工可能かつ弾性の大きなMo-Crマイクロスプリングを利用し、スプリング先端に厚膜めっきしたバンプ型の新しいボンディング手法を検討することを目的とし、実験・検討を進めた。本年度の主な研究成果として、プローブのバンプ形成法にめっき法を取り入れ、金属微粒子がプローブパッド間の低抵抗化に効果があるという、可能性を見出した。具体的な研究実績概要を以下に示す。 (1)プローブ加工に関する検討:プローブの形状加工にはSiをベース基盤とし、SiO_2膜を犠牲層として、プローブを10-20μm幅、500μm長のくし型をホトリソグラフィを用いて、パターニングし、リフトオフでMo-Crを蒸着し、スプリングプロープとした。このとき、スプリング形状を得るために、膜厚方向の弾性を変化させ、蒸着を行っている。先端部の約100μm程度を犠牲層エッチングすることで、スプリングプローブを得ることができた。 プローブ先端のバンプとして、金属微粒子によるめっきを行う。 (2)めっきに関する基礎的検討:初年度である本年は、購入したポテンショスタットを用いて、めっき装置周辺の立ち上げと、金属微粒子の生成条件を明らかにすることを目的とした。金属微粒子の形成方法として、超音波法と攪拌法などが挙げられる。めっき条件(超音波のパワー、攪拌回転数、電位(電流)など各パラメータの条件)から、攪拌法と超音波法を組み合わせためっきにより、より微細な金属微粒子を得ることができ、さらに、攪拌法のみのめっきと比較して、その接触抵抗が低くなることが明らかになった。これは、金属の核生成過程に深く関連しているものと考え、現在そのメカニズムについて検討中である。 以上の結果を基にして、核生成のメカニズムおよび、アライメントを想定した作製プロセスの検討を行う予定である。
|