研究課題
本研究は、光センサを内蔵することで画像を秒速1000枚以上の高速度で取り込み、物体の特徴量、特にエッジ部分を瞬時のうちに抽出するVLSIシステムを実現することを目的としている。人間に例えると、初期視覚野処理に相当するLSIシステムである。フォトセンサに情報処理回路を組みあわせたセル型アーキテクチャで高速特徴抽出を行うことが一般的であるが、抽出性能の向上のためには隣接セルだけではなく一セル飛ばした先の「第二近傍セル」から画素情報を転送する必要があり、その場合セル間の配線量がピクセル数の4乗に比例して爆発的に増加することが問題となる。上記配線爆発問題を、1.VLSIによる解法、2.MEMSとの集積化による解法、の二種のアプローチで解くことを試みた。1.VLSIによる解法について、平成15年度に考案した、フォトセンサとセルのトポロジカルな配置を工夫することで、セル間の配線を隣接セルのみに限ったままで12ピクセル分の情報を得られるアーキテクチャを実装、平成16年度に複数回試作し、0.35μmCMOSVLSIテクノロジによる物体特徴のリアルタイム抽出デモンストレーションに成功した。また、将来の高集積化に対応するための、0.15μmCMOSSOIテクノロジで作製したフォトセンサの基礎データを取得検討した。2.MEMSとの集積化による解法について、隣接セルとは配線で情報のやりとりを行ない、第二近傍からはマイクロミラーによって直接画素を転送する仕組を考案したが、これを効率良く実現するためには、従来の水溶液中ではなく、高密度プラズマ中でエッチングを行う、Deep-RIE技術が必要とわかった。DRIEの性能向上に取組み、エッチング性能を示す幅対深さ比(アスペクト比)1:107という世界記録に近い値を得た。構造のスケールにしてナノメートルからミリメートルにまで達する任意の形状を同時に作製することが必要で、これは従来大変難しいとされていたが、新たに考案したリソグラフィ手法で可能となることを示した。
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Int.Conf.on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems (Transducers '05)
Japanese Journal of Applied Physics
Journal of Micromechanics and Microengineering 14,No.9
ページ: S76-S81
Journal of Robotics and Mechatronics (JRM) 16,No.2
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