研究概要 |
本研究は,導波回路における不連続部および曲がり部の回路特性を得るための計算機支援設計ソフトウェアの開発を目的としている.解析手法は,境界積分方程式法である.研究初年度の本年度は,主に計算機支援ソフトウェアの基礎理論の構築,ソフトウェア開発を行った. 基礎理論の構築として,導波路中の導波モードの導出,ソフトウェアの基礎理論となる新しい境界積分方程式の定式化,解析後の検証に用いるエネルギー保存則の導出等を行った.導出した新しい境界積分方程式は,電磁波散乱問題に対する境界積分方程式と同じ形式をしている.新しい境界積分方程式を電磁波散乱問題に対するそれと比較すると,核関数および励起項が異なる.核関数および励起項は,導波モードに関する項を含み,複雑な関数となっている. 新しい境界積分方程式が散乱問題に対するそれと同じ形式であることから,まず電磁波散乱問題を境界積分方程式で解析するための計算機コードの開発を行った.数値解析結果は,厳密解との比較,光学定理等により検証を行った. また,新しい境界積分方程式をコンピュータで解析するための計算機コードの開発も行っている.開発した主な計算機コードは,導波モード,グリーン関数,数値積分,連立一次方程式の解法等である.これらを組合せ最終的な計算機支援ソフトウェアとなる.しかし,現在のところ本研究の目的である導波回路に対する計算機コードに誤りがあり,所望の通り動作していない.
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