研究概要 |
今年度は以下のような研究結果が得られた。 1)備品の分光特性評価:LiNbO_3結晶の分光特性を紫外可視分光光度計を用いて評価した。吸収端は310nm近傍であり、本研究で用いたHe-Cdレーザ光の波長325nmではバンド間達移による大きな吸収のあることが分かった。 2)結晶の抵抗率測定:結晶に対してレーザ光を垂直方向から照射した状態で、結晶に電圧を印加し電圧-電流測定を行った。その結果、325nmレーザ光照射では、印加電圧の増加とともに、電流量が直線的に増加した。この直線の傾きから求めた抵抗率は、レーザ光照射前の値に比べて5桁程度低下することが明らかになった。 3)光照射分極反転の実験的検討:上記の結果を踏まえ光照射下における分極反転実験を行った。325nmレーザ光照射下で電圧を徐々に印加していくと,3.6kVで分極反転電流が流れた。この分極反転電圧は光照射なしでの反転閥値電圧10.7kVの約1/3の倍まで低下することが分かった。 4)微小分極反転構造の形成:分極反転後のサンプルをエッチング処理し、反転形状の観察をレーザ顕微鏡を用いて行った。その結果、幅200nmライン、直径1.0μmΦの微小分極反転構造を観察することができた。以上の結果から、結晶に対して強い吸収をもつレーザ光の照射により、従来より十分低い印加電圧で極微小分極反転構造を形成できる可能性が示唆された。
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