1.非共振型左手系媒質の解析 非共振型左手系媒質を、シリーズにC、シャントにLを持つLC回路を単位セルとする2次元回路網モデルで表現し、このモデルに基づき線路の基本特性を明らかにし、線路中のバックワードウェーブの存在を示すと共に動作原理を理論的に確認した。さらに同モデルにパラシティックの素子を考慮したより現実的なモデルを導入することで、解析精度が大幅に向上した。 2.左手系平面導波路構造の開発 上記の非共振型回路モデルに基づき動作するマイクロストリップ型1次元および2次元LH平面回路構造を考案した。3次元電磁界解析シミュレーションにより、周期構造中の波動伝播理論に基づき本構造に対する正確な分散曲線を求め、この構造中のバックワードウェーブの存在を理論的に明らかにした。右手系モードと左手系モードの間のバンドギャップを確認すると同時に、このバンドギャップをコントロールし、バンドギャップを持たない周期構造平面型左手系導波路の実現に成功した。 3.マイクロ波帯平面型分布定数漏波アンテナおよび負屈折レンズの実験 マイクロ波帯において1次元左手系線路を実現し、そのバックワード波伝播動作を実験的に確認した。また、これを用いて漏波アンテナを実現し、従来の漏波アンテナでは困難であった前方から後方へのシームレスな指向性走査を実現した。更に、2次元分布定数方平面負屈折率レンズを試作しその動作を近傍電磁界測定装置により実験的に確認した。この媒質中のバックワードウェーブの存在、負の屈折率、レンズ効果を実験的に確認することに成功した。
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