本年度は、1つのLSIチップ上に2つのフォトダイオードアレイを有するイメージセンサについて、主に集積する機能や回路の基本構成について検討した。以下に示すように、各眼で取得した画像に対する処理と、その結果を用いた両眼での処理についてアルゴリズムを検討し、それを実現する基本回路の設計と、その評価を行った。 1.各眼・両眼での処理アルゴリズムの検討 毎秒1500フレーム程度での動作を目標とし、並列処理が可能な画像処理方式を検討した。まず、左右の各センサアレイで高速アナログ処理を行い、動物体を抽出し1ビットのフラグ信号で表現する方法を検討した。動物体抽出では、条件付画素補充差分、フレーム間差分、背景差分の3つを用いた。次に、フラグ信号を雑音除去処理した後、単数動物体の位置や大きさを認識する方法を検討した。また、2つの眼から抽出した動物体の情報を用いて、センサから物体までの距離の検出や物体の動きを追跡する方式を検討した。 2.センサ上処理回路のテスト用LSIの設計と評価 動物体を抽出し1ビットのフラグ信号を作成するアナログ処理回路の検討を行った。3つの方式は共通の小規模な回路で実現でき、2つの制御信号で切り替えることができる。また、ディジタル処理回路にて雑音除去回路や、動物体の位置の最大値・最小値を検出する回路の設計を行なった。テスト用回路を用いてその基本性能を評価し、充分高速に処理が可能であることを確認した。
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