PNIPN構造で各ドープ層に電極を有し、ペース・コレクタ接合を活性層として共有する半導体レーザを提案し、活性層(または近傍に)逆バイアスを印加しながら電流注入が可能で、レーザ発振することをシミュレーションで証明した。このようなデバイスの動作を実験で確認するために、光閉じ込めについてブロードエリアストライプ構造で、表面3電極、裏面1電極のデバイスを試作した。n+InP基板上に各ドープ層をInPで成長し、活性層はQ1.25のInGaAsPをSCH層および障壁層として1.55μmに発光ピークをもつ3重の歪み量子井戸構造である。レーザ発振の挙動を調べるため、ミリ波変調光波生成のためには重要となる電子走行領域層は含めない、簡素な構造とした。デバイス作製に必要なマスクは、50μm幅の単純な窓構造を有するラインパターンで、電子線描画装置を用いて自作したものである。各電極パターンはこのマスクパターンの繰り返しによって作りこまれる。レーザ構造中のベース層は極力薄いことが望まれるが、電極作製を容易にするために、蒸着金属膜の拡散が気にならない程度に厚いことを要請し、経験的にエッチングストップ層を含む200nm程度としている。 上記の新規構造を有する多電極デバイスを駆動するために、実験系を構築した。デバイスは極性の異なる2つのトランジスタをベース・コレクタ層で共有した構造を有するため、駆動形態はトランジスタと類似する。実験系はベース・コレクタ層に印加する逆バイアス、更に両端のPN接合に印加する順バイアスをスイープして自動計測が可能なようにPC制御のソフトウェアを整えた。また、同じ実験系で通常のレーザダイオードも計測が可能であるので、試作した同一サンプルで両形態の駆動様式による動作の比較を行う予定でいる。
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