導波管アンテナの一種であるホーンアンテナは、現在、様々な分野において適用されている。その中でもアンテナ校正に関しては、アンテナ物理量である利得や偏波分離度の1GHz以上の校正にはホーンアンテナが不可欠であり、また高周波雑音標準においては、吸収体から発せられる輝度温度の計測に関して本アンテナが適用される。 電磁波の計測においては、高周波測定機器からの内部雑音の影響は限りなく低く抑えたい。高周波雑音の校正においては、2種類の標準雑音源によりDUTの雑音温度の値付けを行うため、ラジオメータにおけるリニアリティの評価は急務である。本研究においては、まず、諸外国の計量標準研究機関で行われている最新の校正手順の調査研究を各種文献等を用いて行い、ラジオメータ方程式の導出、ラジオメータRF並びにIFセクション内の回路構成、不確かさに起因する諸要因の検討を行った。更に、産総研内におけるシステムにおいて校正手順の習得を行い、その中でも特に測定を中心として、高雑音温度の際のラジオメータ内のアンプの非線形性によるリニアリティを阻害する原因を突き止め、アッテネータ装荷によりその改善を行った。 上記の研究と並行して、ポスト壁装荷H面セクトラルホーンアンテナにおける基礎的な電磁界解析を行った。本手法は、ラジアルラインスロットアンテナにおける開口終端面をポスト壁で置き換えた研究の応用である。矩形キャビティ内に線電流を装荷し、その線電流の励振係数をモーメント法により解析した。その結果、フレア角が0度の場合には切り離し導波管狭壁面を流れる電流と等価な特性が見られ、また本解析によって得られた反射係数は文献における等価アドミッタンスから導出した反射係数と一致した。更に、あるフレア角を与えた場合には、線電流における励振係数の振る舞いから外向き伝播特性が確認され、上記の結果より本解析手法の妥当性が確認された。
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