研究課題
本研究は、周波数利用効率に優れた線形変調方式およびOFDM方式、またCDMA方式の問題点である電力利用効率に着目し、電力利用効率に対する明確な定量的評価指針を確立するとともに、従来技術を理論的に評価し、周波数および電力に対して高効率な通信技術を創出することを目的としている。本年度は、本研究者が提案してきたOFDM信号のピーク電力低減手法の一つであるTrellis Shapingを多値シングルキャリア方式に適用することを試みた。シングルキャリア方式は、OFDM方式に比べてピーク対平均電力比が小さいことから、電力増幅に伴う電力効率の劣化を抑えることができ、よって次世代携帯電話システムなどへの適用が検討されている。しかしながら、シングルキャリア方式で高い周波数利用効率を達成するためには、多値QAM変調方式と組み合わせる必要が生じる。多値変調方式を用いれば、シングルキャリアにおいても本質的にダイナミックレンジを増加させることになるため、結果としてピーク対平均電力比の大きな信号が生成され、電力効率の劣化につながる。そこで本研究では、シングルキャリア方式に適したTrellis Shapingの設計手法を考案した。またその効果を計算機シミュレーションにより確認し、提案手法を用いれば平均電力とピーク電力を柔軟に制御できることを示した。本方式を移動体通信システムへ適用することを考えると、周波数領域等化方式と組み合わせた場合の周波数選択性伝搬路での性能評価などを今後行う必要がある。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
IEEE Transactions on Information Theory vol.51, no.6
ページ: 2041-2057
IEEE Journal of Selected Areas in Communications vol.23, no.9
ページ: 1728-1738
IEEE Transactions on Signal Processing vol.53, no.11
ページ: 4110-4124