研究概要 |
マルチホップ無線通信における端末間の通信経路は,中継している他の端末の移動等により,常に連結であるとは限らず,端末間に経路が存在しないという状況も起こりうる.そのため,マルチホップ無線ネットワークの信頼性を高めるための技術が必要とされている. そこで,本研究では,インフラとしての移動基地局を導入し,ネットワークの連結度を低くしている領域に,自律的に移動する移動基地局を自動的に配置し連結性が高めることを考え,移動基地局が自らを必要とする領域を自律的に発見,移動し,他の端末と協調し信頼性の高いネットワークを構成するための移動基地局の動的配置手法,移動制御手法の開発することを目的とし,平成15年度は以下のような研究を行い,いくつかの成果を得た. (1)端末の分布,移動パターン等が異なる様々な状況を想定し,マルチホップ無線ネットワークの信頼性を高めるような移動基地局の配置を明らかにするため,移動基地局配置の候補点を与え,同時に設置できる移動基地局数を与えた場合に,移動基地局以外の端末の連結度をできるだけ高くするように設置場所を選択するための手法を開発し,その効果を確認した. (2)上記の候補点が規則的に配置されているような場合には,被覆面積がなるべく大きくなるように設置場所を選択することが効果的であり,候補点がでたらめに存在する場合には間隔度が高い候補点を選択すると効果的であることがわかった. (3)同時に,端末が格子状の道路網を移動する場合において,これらの配置法を評価した. (4)マルチホップ無線ネットワークにおける連結性と移動の関係を理論解析した. (5)上記の結果を考慮し,移動基地局が自らを必要とする領域を自律的に発見し,その近辺の端末と協調し信頼性の高いネットワークを構成するための移動基地局の動的配置手法の検討を開始した.
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