| 研究概要 |
本研究では,リアルタイム動画像圧縮可能なウェーブレット変換符号化システムの開発を目標としている.しかしこの目標を達成するためには,動画像にウェーブレット変換符号化を用いることによる問題やリアルタイムで動画像を圧縮することに対する問題等,数多くの問題を解決しなければならない.そこでまず,動画像圧縮にウェーブレット変換を用いたときの問題点を解決することを目標に研究を進めた.具体的には,動画像圧縮にウェーブレット変換符号化を用いたときの問題点を以下の2点に大別し,それぞれについて重点的に研究を行った.
1.動画像符号化における圧縮効率の改善
2.符号化処理速度の改善
1.の改善手法として,以前静止画像において提案したウェーブレット-DCTを動画像に拡張および適用することで改良を行った.動画像に対する実験においてウェーブレット-DCTは,圧縮効率の改善だけでなく,復号画像への雑音の混入を最小限に抑えることができ,視覚的に良好な復号画像が得られることが確認できた.
2.の改善手法として,以前静止画像において提案したマルチ走査によるウェーブレット変換符号化器を動画像にも対応できるよう拡張を行った.動画像に対する実験においてこのマルチ走査は,従来のウェーブレット変換に比べ処理速度が倍になるだけでなく,復号画像の画質も向上し,視覚的に良好な画像を生成できることが確認できた.さらに,JPEG・JPEG2000およびMPEGといった静止画像および動画像の国際標準規格にも容易に適用できるため,符号化処理の劇的な時間短縮が可能である.
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