研究概要 |
本研究では,ライブ入力されたマルチメディア情報(音声・ビデオ)をマルチキャスト配信する場合に生じる端末間同期の問題について,アプリケーションレベルQoSの一つであるメディア同期品質の観点から検討している.平成15年度は,シミュレーションにより,多様な通信形態において,三つの端末間同期方式(マスタ・スレーブ端末方式,同期マエストロ方式,分散制御方式)のアプリケーションレベル比較を行い,それらの方式の特徴を明らかにした. まず,端末間同期が必要となるアプリケーションとして,複数人が参加するグループ通信会議を考えることにした.そして,メディアを送信する端末が複数存在する多対多のマルチキャスト通信環境において,端末間同期制御の有効性を調査した.ここでは,比較対象として,同期マエストロ方式及び分散制御方式を扱った.ネットワークとして,階層型ネットワークトポロジーを扱った.シミュレーションの結果,これらの方式が,端末間同期品質を高く保つのに有効であることを確認した. 次に,ネットワーク環境の違いが端末間同期品質に与える環境を考察するため,無線アドホックネットワーク上のマルチキャスト通信におけるこれら3方式の振舞いを調査した.簡単なストリング型ネットワークトポロジーにおいて,集中制御型の端末間同期方式であるマスタ・スレーブ端末方式と同期マエストロ方式について,制御の中心となるノードの位置とアプリケーションレベルQoSとの関係を明らかにした.また,このネットワークトポロジーにおいて,分散制御方式を含めたアプリケーションレベルQoS比較を行った.この結果,ストリング型アドホックネットワークにおいては,マスタ・スレーブ端末方式が優れていることが分かった.さらに,グリッド型ネットワークトポロジーにおけるこれらの方式の有効性も調査した.その結果,低負荷状態のときに,端末間同期制御の有効性を確認できた.
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