研究概要 |
広帯域通信を行うために,無線システムで用いられる周波数帯は次第に高くなる傾向にあり,30GHz以上の高周波であるミリ波帯を用いる移動通信システムも提案されている.そのシステムの一つとしてミリ波無線LANがあり,未活用周波数帯であるミリ波帯の利用促進の一つとして有望視されている.ここでは,ミリ波用素子アンテナとして誘電体共振器アンテナ(DRA)を取り上げ,以下のことを目的として研究を行っている. 1.DRAのミリ波帯での放射特性の解明, 2.ミリ波LAN用素子アンテナとして用いるためのDRAの特性評価, 3.4素子DRAアレーアンテナの実現とその評価. これらのうち、平成15年度の目標は上記1と2の遂行であった.実績としては,理論検討と電磁界数値解析手法を用いた誘電体内部および外部の数値解析を行い,放射に有効な電磁界成分の解析とその励振方法について検討を行った.具体的には,DRAの励振素子としてプローブ励振,スロット励振および折り返しスロット励振について検討し,インピーダンス特性と放射パターンの広帯域化について解析した.結果としてはVSWRが2以下での比帯域幅が計算値で21%,モデル実験で28%となり,その帯域内で放射パターンの変化のない広帯域な特性が得られた. 上記目標の2については,DRAを用いてアレーアンテナを構成したときの,放射パターン,アクティブインピーダンス,素子間相互結合について研究しており,進捗としては素子アンテナの放射パターンの解析結果より広角ビーム(半値角130度以上)が得られている.アクティブインピーダンス,素子間相互結合に関しては今後の課題であるが,16年度に研究を進める. 平成16年度の予定は上記目標の2の継続研究と,3についての遂行である.
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