代数曲線上の符号としてよく知られる代数幾何符号に対する性能評価や復号法としてよく知られるFeng-Rao限界やFeng-Rao復号法に関する議論として、従来から研究されている巡回符号に対する性能評価および復号法であるBCH限界、Hartmann-Tzeng (HT)限界、Roos限界およびBCH復号法、HT復号法によるアプローチ、さらには、BCH限界やHT限界よりも優れているshift限界やshift限界の半分の誤りまで訂正可能な復号法によるアプローチがある。特にshift限界によるアプローチは、すでに代数幾何符号における概念に一般化されており、本研究における準備的な研究としてshift限界とその周辺に関する研究を行った。具体的な成果に関しては、現在において投稿準備をしており、出版には至っていないが、国内の研究会等でいくつかの成果発表は行っている。 一方、擬似乱数系列に関しては、有限体上の周期系列に限らず、有限環上の周期系列に関する研究成果を発表しており、それらに対する代数曲線の概念における考察が今後の課題である。さらに、線形複雑度の一般化であるk誤り線形複雑度に関する乱数性の評価尺度としての考察を今年度は行ってきた。これらの成果に関する論文も国内の研究会等で複数回にわたり発表し、現在、投稿し、査読中である。今後の課題としては、有限体および有限環を係数として持つ代数曲線上の有理点を用いることにより、周期を持った擬似乱数系列の構成とその乱数性の評価について研究を進める予定である。 また、誤り訂正符号、擬似乱数系列の両分野またはそれらの融合分野においての上述のような研究成果の発表も必要である。
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