符号理論の分野においては、代数幾何符号などでも用いられている下界であるSchaub限界やSchaub-Plus限界を求める手法である定義集合より求めることで、巡回符号における最小距離の下界としてよく知られているBCH限界、Hartmann-Tzeng限界、Roos限界やshift限界の値と比較しそれらの関係与えた。本研究成果は、巡回符号の復号法に応用することでより性能の良い誤り訂正符号の構成に寄与すると思われる。 擬似乱数系列に分野においては、有限体上の2元べき乗周期系列におけるk誤り線形複雑度の履歴に関する高速計算法であるLauder-Paterson法を一般の有限体上のべき乗周期系列へ拡張した。これにより、非2元のべき乗周期系列に対しても、より高速にk誤り線形複雑度の履歴の計算が可能となった。また、2元べき乗周期系列におけるk誤り線形複雑度の履歴のうち、非常に典型的な履歴を持ち1と0の分布が半分であるバランス2元べき乗周期系列に関する個数やそのような擬似乱数系列の構成法を示した。さらに、具体的に楕円曲線上の有理点を用いて、周期も持った2元系列および非2元系列を構成した。特に、2元周期系列に対しては、それらの分布、線形複雑度、自己相関特性などの乱数性の評価も行った。 これらの研究成果は、現代の暗号システムで欠かすことの出来ない擬似乱数系列の構成や評価に用いることで、より高速で信頼性の高い暗号システム構成に寄与すると思われる。
|