本年度得られた研究成果は大別して以下の3点になる。 1)均質な群ロボットの分業における比率制御のための動的遷移確率モデルの詳細な検討 簡単な相互作用を有するロボット群が分業を行なう上で重要な要素である比率の自律制御モデルについて、昨年度に引き続き、簡潔かつ効果的に達することができる動的確率モデルのより詳細な解析を行なった。このモデルは状態間の遷移確率をストック物質の濃度に応じて動的に変化させるもので、齢差分業のような現象も記述できることは昨年度の終盤で定性的に確認できていたが、本年度はそれらの有効性を定量的に評価するところまで行なうことができた。 2)フェロモンを導入した交通流の基礎実験 これも昨年度から引き続いている項目である。Nishinariらが報告した「移動体がフェロモンを散布しながら移動する系において、移動体の密度に応じて流量が急激に増すという非線形現象」に基づいて昨年度にロボット実験を行なった。この結果についてNishinariらと共同で解析を行い、理論的に得られているものと同等の実験結果であることを検証した。 3)群ロボットの行動と構造に関する研究 簡単な動力学特性を有する群れロボットの集団行動と構造を記述するための群れの力学モデルの拡張を行い、そこから得られた2列縦隊構造について詳細な検討を行なった。また、この力学モデルを用いて行動するロボットシステムを構築し、2列縦隊構造の制御を行うことで、拡張した群れモデルのダイナミクスの有効性を実験により示した.
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