研究概要 |
本研究では,時間相関イメージセンサを用いることにより光の波面計測を実時間で実現することを目的とする.特に3つの参照信号入力端子を有する三相時間相関イメージセンサを用いることにより,干渉波面の振幅・位相分布がイメージセンサのフレームレートで実時間復調可能な点に特色がある.具体的な課題としては,(a)実時間微小凹凸分布計測,(b)実時間複屈折分布計測およびその光弾性計測への応用,(c)実時間ホログラフィック変形パターン計測,等を目標としている.これに対する本年度の成果は以下の通りである. 1.光ヘテロダイン干渉パターン実時間復調システムの構築 2周波レーザおよび時間相関イメージセンサを用いたMichelson干渉計測系を構成し,2周波レーザの干渉ビート波形に同期した光強度変動パターンの振幅・位相を実時間で復調した.光源にはHe-Neレーザを用い,音響光学(AO)素子2個を用いることにより25kHzのビート周波数を生成した.64×64画素の三相時間相関イメージセンサに加える三相参照信号は,レーザビームの一部を取り出して干渉させ,その強度波形を検出し信号処理する自作の回路を通して供給した. 2.変位分布および屈折率分布の実時間パターン計測 光ヘテロダイン干渉パターン実時間復調システムの動作を検証するため,まずピエゾアクチュエータを用いたミラー変位分布の実時間計測を試みた.ピエゾアクチュエータのnmオーダーの伸縮により干渉位相パターンが実時間で変化すること,またその変化がピエゾアクチュエータの特性から予想されるものとよく一致することを確認した.次いでアクリル板を光路に挿入することにより生じる干渉パターンの変動を観察した.アクリル板の微小な傾き角に応じて復調位相パターンがほぼ予想通りに変化することを確認した.
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