研究概要 |
まず,低コヒーレンスレーザー(スーパールミネッセントダイオード)を光源とする位相変調が可能なマイケルソン干渉計を卓上型防振台上に構成し,さらにその干渉出力をモノクロCCDカメラ(320×240画素,256階調)によりスペックル画像として検出するシステムを構築した.また,光学系の各可動部にはサーボモータを組み込み,それらをコントローラ,インターフェースおよび電源を用いて設計・製作したシステム制御用電気電子回路系で制御することによって,各可動部を自動調整できるようにした.これにより,照射ビーム径,検出開口位置およびCCDカメラ位置を高速かつミクロンオーダーの精度で微調整することが可能となった.次に,擬似生体試料(イントラリピッド水溶液),光拡散物体およびガラス製セルで構成した層状の皮膚モデルを対象として簡単な断層計測実験を実施し,皮下腫瘍部の深さと厚みの同時計測の基本的な原理を確認した.なお,皮膚下の比較的深い位置(深さ約1.5〜3mm)の腫瘍を可視化する場合に,生体組織の多重散乱や吸収などにより信号強度が著しく低下し,CCDカメラによる画像検出が極めて困難となることが予想される.このため,今年度は上述のCCDカメラを用いた光学系の構成に並行して,光センサとディジタルストレージオシロスコープを併用して観測領域内各点のスポット照明により発生する微小反射信号の振幅を高感度に検出し,さらに2軸可動ステージを用いて観測領域全面にわたりスポットを走査し信号振幅を2次元マッピングして断層画像を再現するシステムも同時に構築した.
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