国際半導体技術ロードマップ2002では、90nmプロセスが2004年に、45nmプロセスが2010年に導入されると予測している。一方、2005年以降は回路技術・露光技術など複数の分野にわたりブレークスルーが必要だとしている。 本研究の目的は、300mmウェハ対応の次世代半導体露光装置用超精密ステージの制御系開発である。ステージ駆動用に用いているアクチュエータは、共同研究先で開発された非共振型超音波モータ(NRUSM)であり、原理的に任意の位置決めが可能であること、優れた磁気ノイズ特性から次世代転写用光源として期待される電子線との整合性が高いことをその特長としている。 このNRUSM駆動の精密ステージに対し、まずは制御系設計に必要不可欠なモデル化を行った。モデル化にあたっては、摩擦に起因するスティックスリップ問題を考慮し、実験的手法であるシステム同定法を導入した。特に、摩擦特性の同定においては、ステージストローク内での位置に対する特性変化と時間経過に対する特性変化を同時に考慮した準オンライン同定法を提案した。また、NRUSM摺動面の形状と摩擦特性との相関解析により、NRUSM取付状態や摩耗状態の因果関係を調べた。 制御系設計にあたっては、次世代の主流駆動方式であるコンティニュアスパスへの追従を目的に、同定モデルを用い連続軌跡追従制御系を構築した。同時に、摩擦モデルに基づくフィードフォワード補償部を付加することにより、スティックスリップ防止と素早い目標値追従が可能とした。また、オンサイトでの調整と外乱に対する制御性能維持を考慮した簡便且つロバストな制御構成も本制御系の特長である。本手法の有効性を100mmウェハ対応の試験装置により実験検証した。 本研究にてえられた成果(関連した成果も含む)は、学会誌論文(2件)、国際会議(2件)、国内会議(3件)で発表した。
|