研究概要 |
平成15年度の研究実績概要を以下に述べる. 1.不安定系に対するAnti-windup設計法の構築: 外部入力の振幅や初期状態集合の大きさを陽に考慮することで不安定系への適用が可能となった,新たなAnti-windup設計法を示した[1].新たに構築した設計法は,線形行列不等式(LMI)制約条件の下で,線形関数を最小化する問題に帰着されており,数値的最適化アルゴリズムを用いることで容易に実行することが可能である. [1]大元,和田,佐伯:Anti-windup性能の局所的評価と最適化;第46回自動制御連合講演会講演論文集,pp.1233-1236(2003) 2.飽和フィードバック制御系のL2ゲイン解析条件の導出: 飽和関数をポリトープ形式で表現し,さらに,パラメータ依存Lyapunov関数を用いた,新しいL2ゲイン解析条件を導出した.この解析条件は,(1)従来法よりも保守性が低いことが理論的に保証される,(2)完全なLMI条件に帰着されている,(3)設計条件も同様にLMIに帰着できるといった有用な特徴を持つ.さらに,このアイデアに基づく実時間最適化型制御則も導出した.これらの成果については,現在ジャーナル投稿中である. 3.飽和フィードバック制御則のロボット制御への応用: 双曲線正接関数を利用した状態フィードバック制御則を提案した[2].この制御則を用いると,制御入力の振幅をある値以下に抑えたまま,非ホロノミック型移動ロボットを任意の有界外乱の存在下でロバストに目標軌道に追従させることが可能となる. [2]N.WADA et al.: Robust Tracking Control of a Nonholonomic Mobile Robot in the Presence of Disturbances; (to appear)
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