都市道路網の交通渋滞低減を目指して、リアルタイムでの交通信号の制御方法、および制御のためのモデリング方法について研究を行なった。主につぎの3項目から成る。 (1)交通流を制御理論の適用可能な動的システムとして、交通量収支に基づいてモデリングする方法、およびシステム同定法によってモデリングする方法を提案した。先行研究において考察が不十分であったシステムの可制御性、および平衡点について議論した。可制御性については、これに注目した信号システムの構造設計の指針を示した。また、平衡点については、二次計画法による設定方法を提案した。 (2)上記モデルに対応するH∞制御による信号機の制御パラメータ(スプリット)算出法を示した。 (3)上記のモデリング方法および制御方法の効果を交通シミュレータAIMSUNを用いて検証した。 以上の結果、先行研究におけるモデリングおよび制御の問題点が解決され、交通信号システムへの制御工学的アプローチが整理されたといえる。今後、さらにソフトウェア環境の充実のため、AIMSUNとMATLABのシームレス化などが望まれる。
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