研究概要 |
近年,複数台の安価なPCをネットワーク接続することでスーパーコンピュータと同等の処理能力が得られるPCクラスタ等の技術が開発され,これらの技術を活用した並列計算をサポートするソフトウェアの整備が求められている。 本研究では,ギガビットイーサネットで接続された複数台のコンピュータを活用する並列計算手法を確立し,制御系の解析,設計,シミュレーションを効率的に実行できるCADシステムを開発することを目的とする。並列処理に伴うオーバーヘッドを見積もり,並列化する処理を決定するため、実際にシステムを構築し,並列化による効率を調べた。具体的には,以下の内容を実施した。 (1)高速データ通信ネットワーク環境の構築: 申請したギガビットイーサネット対応のカードとスイッチングハブを用い,Dual CPUコンピュータを接続し,高速データ通信ネットワーク環境を構築した。なお,空間を有効利用できるよう,切り替え器を用いてディスプレイ,キーボード,マウスを複数台のコンピュータで共有した。スイッチングハブを通常のネットワークに接続し,設計者がシステムを利用できる環境を実現した。 (2)並列計算フレームワークの設計: マルチスレッド,分散オブジェクト,クラスタリングなどの並列化手法を柔軟に選択できる並列計算フレームワークを設計した。その際,各ノードのCPU能力やネットワーク通信能力が異なる,いわゆるヘテロな環境の能力を最大限に引き出せる最適負荷割り当てアルゴリズムを考案した。 (3)基本型並列計算エンジンの開発 申請者が開発した科学技術計算ソフトウェア(MaTX)を申請した開発ソフトウェアを用い,計算コンピュータ上で稼働するOSに移植した。そして,行列演算など基本型計算をマルチスレッド等を用いて並列化し,基本型並列計算エンジンを開発した。
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