研究概要 |
本年度の研究では,促進中性化試験、Cl浸透試験、乾湿繰返し試験、寒暖繰返し試験により劣化させた鉄筋コンクリート供試体(曲げ載荷による幅0.3mmのひび割れ、寸法10×10×40cm, W/C=55%)に対して電着工法を適用した.なお、溶液種類は0.10(mol/l)のMg(CH_3COO)_2aq、電流密度は0.5, 1.0, 2.0A/m^2、電着期間は1,4,8,12週間とした.その後再び上記の劣化環境に暴露することにより、電着工法の適用による各種劣化に対する耐久性について検討した.ひび割れ閉塞状況、中性化抑制効果、Cl-浸透抑制効果、止水効果について検討した結果、電着工法を適用4週間後に、何れの電流密度においても劣化抑制効果があり、耐久性が確認された.また、腐食速度による耐久性の評価を、腐食によるひび割れ再発生までに要する年数を基に行った.その結果、電着工法を適用後再度劣化促進しても、中性化の場合は鉄筋コンクリートが後48年の寿命があり、塩害の場合は後36.3年の寿命があり、耐久性が確認された. また、電着工法を適用した鉄筋コンクリートの表層部の微小圧縮強度および微小拡散係数を検討した.電着工法を実施4週間後のコンクリート表層部の微小圧縮強度は30%程度大きく上昇し、微小拡散係数も低下したことが確認された.電着工法によるコンクリートの緻密化効果は、コンクリート表層部が各劣化に対する耐久性の向上に大きく寄与したことが分かった.
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