研究概要 |
本研究は,疲労と凍結融解を同時に受ける鉄筋コンクリートはり部材の寿命予測手法を構築することを目的とする.すなわち,凍結融解による劣化と疲労荷重による損傷を考慮できるFEMプログラムを開発し,かつ,部材レベルでの促進試験を行い,実験結果と解析結果とを比較することにより本解析手法の妥当性を示すとともに,劣化メカニズムを解明する.この研究は3年計画で進められるものである.初年度である本年度の成果を以下に列挙する. ・鉄筋コンクリートはり部材の凍結融解試験を実施した.コンクリート強度の低下に起因する曲げ破壊モードからせん断破壊モードへの移行が予想されたが,実際には,破壊モードの変化は見られなかった.しかしながら,凍結融解を受けることにより,曲げ降伏後の終局変形量に大きな影響を及ぼすという大きな知見を得ることができた. ・疲労を考慮できる有限要素解析プログラムの開発に着手した.非線形性が小さい領域での数値計算が可能なレベルにまで拡張した. ・初期損傷が凍結融解抵抗性に及ぼす影響を明らかにするための実験に着手した.すなわち,乾燥収縮,静的荷重,疲労荷重によりあらかじめマイクロクラックを生じさせた供試体を用意し,それらの凍結融解試験を開始した.現在,実験を継続中である. ・疲労構成則に必要な任意の湿度及び温度を考慮できるクリープ予測式を構築した.
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