研究課題
本研究では知能分散型劣化同定法の実構造物への適用性について検討することを目的として、既存の劣化同定法を高度化するとともに、計測データの遠隔的な取得システムの検討を行い、知能分散型劣化同定システムの開発に関する検討を行った。本年度の研究成果は、(1)現地計測データによる損傷判定手法の有用性の確認、(2)遠隔センシングシステムの開発、(3)同定システムにおけるの最適化アルゴリズムの高度化の3点である。(1)では、まず実構造物の現地遠隔計測を実施し、時系列的な荷重と構造物の応答データの関係を得ることができた。そして、取得データにより実構造物の劣化状況の簡易評価を実施し、劣化・損傷の有無を診断した。これにより、現状の実構造物には致命的な劣化および損傷はないことを確認し、継続的な遠隔モニタリングの必要性を提案した。(2)では、遠隔センシングおよび遠隔制御、自立分散型制御の各機能を備えた実用的な遠隔センシングシステムのプロトタイプを作成した。このシステムはLON-WORKSを利用したネットワーク型の遠隔センシングシステムである。システムの性能確認試験を実施し、対象構造物と監視システムとの遠隔センシングおよび遠隔制御能力、また、複数種類・複数個のセンサ間の自立分散型制御能力について確認できた。(3)では、未計測データの補完のために、応力誤差二乗方程式の最適化過程において遺伝的アルゴリズムを使った新しい最適化アルゴリズムを提案した。これまでの相互結合型ニューラルネットワークを利用した最適化アルゴリズムに比べて同定未知数を考慮した定式化が不要であること、また同定計算処理時間が短縮できるとともに、少ない情報で多くの未知同定箇所の劣化同定が可能であることが確認できた。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
土木学会第59回年次学術講演会・講演概要集 I-11
ページ: 21-22
Proceedings of the Second International Workshop on Structural Health Monitoring of Innovative Civil Engineering Structures
ページ: 417-428