コンクリート構造物のひびわれ挙動を3次元的に捉えるため、離散型解析手法であるSpring Networkモデルを3次元解析へ拡張した。すなわち、Voronoi分割法を用いてコンクリートを3次元任意多面体に分割する前処理プログラムを開発し、これら3次元剛体粒子をバネで結合させて、ひびわれの3次元的進展挙動や開口幅の3次元分布が得られるような解析プログラムの作成を行った。また、3次元Spring Networkモデルに導入するための新しい離散型補強材モデルの開発を併せて行った。開発したプログラムを用いて、ひびわれに起因するコンクリート構造の破壊挙動の解析を行い、開発したモデルの基本特性を検証した。 続いて、コンクリートの時間依存変形を拡散理論に基づく水分移動としてモデル化し、構造解析プログラムに導入した。つまり、外気およびコンクリート中の相対湿度をパラメータとした水分拡散問題を、Spring Networkに重ねたトラスモデルによって扱うことにより、コンクリート中の相対湿度分布を求め、これより収縮ひずみをコンクリートに初期ひずみとして与える構造解析に展開することになる。乾燥収縮等により発生するひびわれは、構造物中の補強材(鉄筋等)に影響を受けるため、補強材とコンクリート間の付着特性が重要になるが、コンクリートが硬化する過程での付着特性の時間依存性に関する情報が少ないため、両引き試験を行って材齢ごとの付着特性を調査した。 本年度の研究成果は、現在学術雑誌に投稿中である。
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