研究概要 |
本研究では,構造物の地震応答解析等の動的解析において,種々のパラメタの不確実性による影響を効率よく評価する数値解析手法を開発することを目的としている.そのために,1990年代に開発され,広く用いられるようになってきているスペクトル確率手法とよばれる手法を適用した有限要素法および境界要素法の構築を行う. 初年度である本年度には,スペクトル確率有限要素法の連続体の非線形動的問題への適用を図った.具体的には,線形系,超弾性系,および,バイリニア降伏特性等を有する系を対象として,理論的な検討に基づき,定式化を行った.また,非線形問題のための数値計算用プログラムを作成し,数値シミュレーションによる解析の安定性や適用範囲の検討を行うとともに,モンテカルロシミュレーションとの比較による精度や計算効率の比較等の検討を行った.これらの検討より,提案する手法がモンテカルロシミュレーションなどに比較して非常に高速であること等が示された.ただし,非線形性の影響が強い問題については精度が低下する場合もみられ,適用性に限界があることも示された.これにより,今後の課題とすべき点も明らかになったといえる. また,スペクトル確率境界要素法についても基礎的な理論の検討を行い,2次元弾性波動場を対象とした基礎的な数値シミュレーションを行った.計算結果を,モンテカルロシミュレーションによる結果と比較し,計算量が少なく効率的な計算が可能となること,計算精度も高く,十分な適用性が認められることなどを示した.(643字)
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