研究概要 |
本研究では,構造物の地震応答解析等の動的解析において,種々のパラメタの不確実性による影響を効率よく評価する数値解析手法を開発することを目的として,以下の成果を得た. (1)スペクトル確率有限要素法の連続体の非線形動的問題への適用を図った.具体的には,線形系,超弾性系,および,バイリニア降伏特性等を有する系を対象として,理論的な検討に基づき,適用範囲などの整理及び定式化を行った. (2)非線形問題のためのプログラムも作成し,数値シミュレーションによる解析の安定性や適用範囲の検討,モンテカルロシミュレーションとの比較による精度の検討等を行った.以上の検討により,提案する手法がモンテカルロシミュレーションなどに比較して非常に高速であること等が示された.ただし,非線形性の影響が強い問題については精度が低下する場合もみられ,適用性に限界があることも示された. (3)スペクトル確率境界要素法について基礎的な理論の検討を行い,2次元弾性波動場を対象とした数値シミュレーション,精度の検証を行った.モンテカルロシミュレーションとの比較により,提案手法が十分の精度を有していること,計算時間の大幅な短縮が実現できること,などが示された. (4)非ガウス性の不確定問題に対する適用法について検討し,対数正規分布の問題に対する適用法を提案し,その性能を検証し,モンテカルロシミュレーションとの比較により,高い解析,計算時間の短縮が実現できることを示した. (5)さらに,非線形問題への適用性をあげるための方法論として,モンテカルロシミュレーションと,提案手法のハイブリッド化についても基礎的な検討を行い,その有用性を指摘できた.(703文字)
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