研究概要 |
本研究では,コロイダルシリカ溶液を用いて,極力原地盤での浸透注入を室内で模擬できる特殊なモールドを用いて豊浦砂を浸透固化処理した供試体を用いて,各種室内試験を実施した。まずはじめに実施した中空ねじりせん断試験機による単調載荷試験により,未処理の緩詰豊浦砂に比べて,固化処理した砂は正のダイレイタンシーが大きく発揮されるようにせん断特性が変化することが明らかとなり,それがせん断強度増大のメカニズムのひとつとなっていることが示された。さらに,初期応力状態を等方圧密状態およびK0値が0.4および0.5の異方圧密応力状態に設定し,非排水繰返し中空ねじりせん断試験を実施することにより改良砂の繰返しせん断特性について検討した。その結果,等方,異方圧密応力状態のいずれにおいても,固化処理砂の繰返し強度は,未処理砂の2倍程度大きくなることが示された。また,各試験毎に繰返しせん断の過程を詳細に観察した結果,処理砂は,繰返し載荷に伴い変相線が未処理砂と同程度まで低下することが示され,それにより正のダイレイタンシーを発揮する領域が一層拡大するため,繰返しせん断中も変形が抑制され,決して液状化に至るようなことはなく,大きな繰返しせん断強度を発揮するという一連の繰返しせん断強度発揮のメカニズムが明らかになった。また,一回一回の繰返しせん断中に剛性が低下する度合いも未処理砂のように完全に剛性ゼロの状態にはならず,大きな繰返しせん断応力による繰返し中も,高い変形性能を維持し続けることが確認できた。以上の固化処理の効果により,等方および異方圧密下ともに,固化処理砂の繰返しせん断強度が大幅に増加することがわかった。
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