本年度は、当初の予定を若干変更して、塑性設計法の基礎となる力学および数値解析法について、基礎的な検討を行った. まず、極限解析法やシェイクダウン解析法の数理構造を非線形最適化の観点から整理した。これらの境界値問題に対するLagrangianを見出し、Lagrange双対性理論に基づいてそれらに対する上限および下限操作を行い、静力学的な解析手法(下界法あるいはMelanの定理によるシェイクダウン解析)と運動学的な解析手法(上界法あるいはKoiterの定理によるシェイクダウン解析)を具体的に導出した。これらの方法は上限・下限の操作順を換えることによって導き出されており、互いに双対性を有することが分かる。さらに、双対ギャップを計算し、最適解のときに限って相補性条件が成立し、それは力学的には材料の塑性挙動・剛体挙動・中立(シェイクダウン解析においては塑性挙動・弾性挙動・中立)を判定する条件となっていることを端的に示した。 つぎに、これらの境界値問題を解くためのアルゴリズムについて検討した。非線形最適化の数値解析法の中でも有力な高速解法として、近年、内点法が注目されている。とりわけ主双対内点法は実質的にもっとも強力な解法アルゴリズムとしての地位を固めつつある。本研究では、この主双対内点法を応用した解法アルゴリズムを提案し、その計算性能を評価するために数値解析コードを開発し、いくつかの数値実験を実施した。その結果は良好であり、提案したアルゴリズムは有望であると思われる。
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