自然地盤はその堆積過程での分級作用により多かれ少なかれ不均一な層構造を有している。特に、細粒分まじりの砂地盤ではその傾向が顕著である。ところが、砂地盤の液状化特性を室内試験で調査する際には、不撹乱供試体を用いることは大変に費用を必要とするので、自然地盤の分級層構造を保存していない均一に再構成された攪乱供試体を用いるのが普通である。本研究の前半では、細粒分や礫分は含まないが粒径0.075mmから2mmまでの幅広い粒径分布を持つセメント強さ試験用標準砂をふるい分けることによって人為的に分級層構造を有する供試体と、全く同じ砂材料を均一に混ぜた供試体について、非排水三軸圧縮試験と、非排水繰り返し三軸せん断試験を行ってその液状化強度特性を比較したところ、同じ密度を持った砂の供試体であっても、分級構造のあるものは均一なものに比べて遙かに大きな液状化抵抗を有することがわかった。このことは、砂の粒度の分級構造の有無が液状化特性の評価にあたって非常に重要な要素となっていることを示している。そこで、本年度は粒径分布の非常に狭い豊浦標準砂と非塑性のシルト材料であるカオリンを用いて、砂とシルトの分級互層構造を持つ供試体と両者を均一に混合した供試体を作製し、非排水三軸圧縮試験と非排水繰り返し三軸せん断試験を行ってその液状化強度特性を比較した。その結果、同じ密度条件で比べた場合、分級互層構造を持つ供試体の液状化抵抗は均等な供試体よりも遙かに大きなものであることがわかった。また、分級互層の層厚を小さくしていくと均一なものの挙動に近づいていくことがわかった。以上の実験結果より、シルトまじり砂の液状化特性を室内試験で評価する場合に、現地盤の分級構造を無視して均一な供試体を用いて実験を行うと、その液状化強度を著しく過小評価する可能性があることを明らかにした。
|