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2003 年度 実績報告書

高水敷植生の成長・破壊を考慮した礫床河川の河道地形・栄養塩環境の形成機構

研究課題

研究課題/領域番号 15760376
研究機関東京工業大学

研究代表者

戸田 祐嗣  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (60301173)

キーワード高水敷植生 / 栄養塩吸収 / 呼吸量 / 植物成長モデル / 水耕栽培実験 / 比高 / 地下水位 / 蒸発散
研究概要

本年度は,高水敷植物の成長および栄養塩吸収に関して現地観測,室内実験,数値計算を実施した.得られた成果はそれぞれ以下に示すとおりである.
1、高水敷植生の成長に関する現地観測:東京都青梅市の多摩川河口部より59km地点付近の高水敷上において,2003年4月〜同年8月の期間中のツルヨシの成長量,地下水位,地下水水質の現地調査を実施した.観測の結果,観測対象地の高水敷上においては,地下水位と河川水位,地下水水質と河川水質に有意な違いは見られなかった.また,ツルヨシの成長は比高と密接に関連しており,比高の小さな高水敷水際付近の植生は,他の地点と比較して成長量が小さいことが明らかになった.
2、ツルヨシによる栄養塩吸収に関する水耕栽培実験:観測対象地に生育するツルヨシを採取し,実験室において水耕栽培を実施した.水耕栽培では,光合成に伴う蒸発散量,栄養塩吸収量,根の呼吸量の計測を行った.実験の結果,ツルヨシの栄養塩吸収量は根の呼吸量と関連しており,呼吸量が大きいほど栄養塩吸収量が大きくなることが明らかになった.また,根の呼吸量は周辺土壌の水分量の影響をうけ,根が冠水していると呼吸量が小さくなり,その結果,栄養塩吸収量が小さくなることが示された.この結果は,現地観測における比高の小さな地点でツルヨシの成長量が小さくなるという結果を支持するものであり,高水敷ツルヨシの成長量を予測するためには,地下水位による地下茎の呼吸量,栄養塩吸収量の変化を適切に把握する必要があることを示すものである.
3、ツルヨシ成長の数値計算モデルの開発:上記の観測,実験結果に基づいて,根の呼吸量,栄養塩吸収量を考慮に入れたツルヨシの成長モデルの開発を行っている.現時点では,根の呼吸と栄養塩吸収の関係を定式化しモデルに組み込んだ段階であり,今後,成長モデルへと拡張していく予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 戸田祐嗣: "単細胞・群体型付着藻類と糸状型付着藻類の増殖競争モデルの開発"河川技術論文集. 9. 481-486 (2003)

  • [文献書誌] Yuji Toda: "Laboratory experiment and numerical computation of growth of periphyton on flat channel bed"proceedings of XXX IAHR congress. C-1.1. 187-194 (2003)

  • [文献書誌] 戸田祐嗣: "糸状藻・非糸状藻の種間競争を考慮した付着藻類増殖モデルの開発"第58回土木学会年次学術講演会講演概要集. (CD-ROM). (2003)

  • [文献書誌] 戸田祐嗣: "礫河原に生息するツルヨシの生長および栄養塩吸収に関する研究"水工学論文集. 48. 1615-1620 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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