研究概要 |
京都大学防災研究所大潟波浪観測所の観測桟橋を援用し,レーザー式濃度計(LISST-25),ADCP,超音波式波高計,超音波式風速計を用いた強風・高波浪条件下における波浪・海浜流・海上風・漂砂の総合的な観測を実施した.また,ADCPの反射強度を用いた現地での浮遊砂濃度の鉛直分布計測の可能性も試みた.それにより,以下の成果が得られた. ・砕波帯内の水深約7m地点における波浪,海浜流の鉛直分布,漂砂,海上風の同時計測データセットが得られた. ・ADCPのエコー反射強度とレーザー式濃度計による計測結果の比較から,エコー反射強度による浮遊砂濃度の推定を試みた.その結果,ADCPエコー反射強度と浮遊砂濃度との間には対応関係があり,エコー反射強度から浮遊砂濃度の鉛直分布を間接的に推定することがあると考えられる.しかし,高波浪時の砕波帯内においては,砕波による海面からの気泡が大量に混入するため,エコー反射強度と濃度計による計測結果の双方にいて,気泡の影響を除去することが必要であり,詳細な波浪(砕波)や混入気泡の条件(情報)を得ることが必要であった. また,申請者らが開発を行ってきた3次元海浜流モデルに,沿岸域での波浪と(波浪と海上風による)流れの影響を考慮できるBailardの漂砂モデルと漂砂の質量保存則を組み合わせた広域海浜流・漂砂・海浜変形の統合モデルの構築を行い,上記の計測データによる計算結果や,現地での深浅測量結果の再現を試み,その適用性を検討した.
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