研究概要 |
(1)空中写真の補正を目的としたGPSによる現地位置計測 (2)空中写真を用いたDEM作成 (3)DEM作成における被覆情報の影響の低減方法構築 以上ついて検討を進めた。 (1)空中写真よりDEMを構築する際には、補正の基準となるX, Y(緯度、経度)およびZ(標高)のデータセットが必要となる。本研究では、実利用に即した方法を提案するために、ステレオ撮影された空中写真からのDEM構築を対象としたが、この既知座標の取得は人力に依存する。具体的には、スタティック計測が可能であるGPS機器を用いて、水戸市駅南地域における測量を実施した。この結果に対して、行政がストックしている測量成果を入手し、空中三角測量のデータセットを整備した。 (2)1(m)解像度でのDEMを構築した。構造物のエッジ部分は、空中写真によるデータ作成のみでは不安定な結果となる。このDEMの高精度化という点については本研究期間では踏み込めず、今後の課題とした。 (3)(2)において、DEMの高精度化の必要性が生じたため、DEMについては既存データを用いることとし、影の低減モデルを構築することにした。まず、衛星画像観測取得日のピンポイント時間における太陽高度と方位をもとにして、陰影シミュレーションを実施した。効果を的確に把握するために、ビルの幾何形状を代替することができる複数の崖部を対象とした。その後に、陰影シミュレーションで算定した陰影強度に対して、陰影部の被覆パラメータを考慮した陰影部濃度強調式を提示し、影部の濃度強調を行った。検討の結果、影領域に微妙に見えている車や駐車場のマス等が明確に視認できる映像を作成できた。ただし、高空間分解能衛星画像とDEMの解像度は近似していないため、補正画像には解像度不一致の影響は出てしまった。この点は、DEMそのものの精度向上で対応することができると考える。以上の処理が、対象領域の個々の影領域に対して処理を施すのではなく、一様に処理することができる切口を見出した点が成果となる。
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