研究概要 |
すでに収集してあった甲府市を中心とするパークアンドバスライドの試験運行を行っている沿線住民の意識調査に基づくデータを用いて,基礎分析および,人工社会型シミュレーションの基礎モデルを構築した.とくに個人間の相互作用についてのデータに基づいた協力率曲線を導出し,それを用いて他者の行動がどのように意思決定を与えるのかについて分析をおこなった.その結果甲府パークアンドバスライド型の協力行動は,他者の協力率によって利用意向が変化することが明らかになった.また,モデルシミュレーションから,現時点では劣位均衡に陥っていることが明らかになり,この状態を優位均衡へ移動させるにはどの程度の利用率が必要であるのかなどについて多くの知見を得ることができた. また,その調査の結果から明らかになったパークアンドバスライドへの4つの期待 1)通勤時間短縮 2)排出ガス削減 3)交通安全の向上 4)公共交通活性化 について,それぞれの効果の予測を行ってもらい,それに関して正確な情報を提供した後,推進意向に変化が見られるかどうかについてオンライン調査を行った. 予測結果では交通安全については,多くの人がバスの事故率をより少なく見積もっていたが,大気汚染改善,通勤時間短縮,公共交通活性化についてはより小さく見積もられていることが明らかになった.そこで,正確な情報を約半数に提供し,その結果情報を提供したグループは意識の向上が見られたのに対して,情報を提供しなかったグループでは意識の変化はほとんどみられなかった. これらの結果を再びシミュレーションによって再現し,交通政策の効果を検討していく予定である.
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