(1)消化ガスに対する吸着量を測定するために、温度、ガス組成が任意に設定可能な多成分高圧吸着平衡測定装置の設計・製作を行った。 (2)7種類の吸着剤についてメタン、二酸化炭素の吸着量を測定し、吸着貯蔵に最も適した吸着剤の評価として、有効貯蔵量、ハンドリングで評価した結果、吸着性能が高く、充填密度が最も高かったActivated Carbon Bが有効貯蔵量を最も高く示し、破砕状でハンドリングの良いため、吸着貯蔵に適した吸着剤はActivated Carbon Bであることを明らかにした。また、本研究で検討した活性炭は天然ガス(メタン)貯蔵などの研究で開発されている吸着剤と性能はほぼ同等であり、性能の高さを示すことができた。 (3)メタン、二酸化炭素の混合吸着平衡の測定を行い多成分吸着平衡理論であるIASTによる推算値との比較を行った結果、極めてよく一致したため、任意の組成、圧力におけるメタン-二酸化炭素混合ガスの貯蔵量を容易に予測可能であり、消化ガス中のメタン、二酸化炭素の組成や圧力による貯蔵量の違いを明らかにした。 (4)IASTを用いて298Kにおける消化ガスの主成分であるメタン、二酸化炭素混合ガスの有効貯蔵量を推算した結果、同じ圧力における圧縮貯蔵と比較し、2 atmGで13倍(26 atmG分)、7 atmGで9倍(63 atmG分)のガスを貯蔵可能であることが明らかとなり、実際の消化ガスの高い吸着貯蔵の効果が示唆された。 (5)消化ガス中の不純物のうち吸着性能に影響を及ぼす物質は水分と微量有機物と考えられ、そのうち貯蔵能力低下に大きく影響を及ぼす物質は水分であることを明らかにした。
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