初年度(平成15年度)に様々な吸着剤に対する消化ガスの吸着貯蔵性能の評価を行い、適した活性炭を決定し、その際の貯蔵条件を明確化した。 最終年度の16年度においては、5種類のメタンなどのガス吸着に適していると考えられる活性炭を用いて消化ガスの吸着貯蔵量の評価について、消化ガス貯蔵における吸着熱の貯蔵量へ与える影響を明らかにし、活性炭の発熱による温度上昇を考慮した消化ガス吸着貯蔵量の評価を行った。さらに、下水処理場に設置したパイロット試験機を用いての基本性能の確認、不純物の影響把握、長期安定性等の評価を行い下記のような知見を得た。 (1)広い圧力範囲、温度範囲のメタンと二酸化炭素のそれぞれの吸着等温線はToth式、拡張Toth式により解析可能であり、2成分吸着量はIASTを用いて正確に予測可能であった。 (2)IASTおよび単成分等量吸着熱を用いた多成分吸着熱による温度上昇を考慮した貯蔵量の評価方法を提示した。 (3)5種類の活性炭の断熱状態での温度上昇を考慮した消化ガス貯蔵量を求めた結果、最も貯蔵量が高かった活性炭では、従来の圧縮貯蔵に比べ、2気圧で16倍、5気圧で10倍高いことを明らかにした。 (4)断熱曲線による温度上昇の予測値とパイロット試験機の実験結果とを比較した結果両者は3K以内で一致し、断熱曲線を用いることで消化ガスの吸着熱による温度上昇および温度変化を考慮した貯蔵性能の評価が可能であることを明らかにした。
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