研究概要 |
平成15年度の研究では,建築物と道路を対象とし,GISデータの積み上げにより都市構造物のマテリアルストックを定量化し,その建設,維持,補修等に伴い発生するフローの経年変化を推測した.本研究で得られた知見を次にまとめる.(1)対象地区として北九州市について,GISデータでのボトムアップアプローチによる建築物,道路ストックの推計を行い,建築物5,724万t,道路1,712万tのストックがあることがわかった.(2)都市のマテリアルフローについて経年変化を予測し,2020年には物質投入量としては210万tのフローがあり,北九州市の社会資本ストックから都市構造物の解体,補修に伴い140万tの廃棄フローが考えられる.現在のリサイクル目標を満たすには80万tもの建設副産物の再生利用が課題となってくる.(3)将来,都市構造物の解体に伴う建設副産物のフローに加え,維持,補修に対しての膨大な物質投入が必要となり,それに伴う建設現場での土砂移動などストックに対するフローの割合が増加する. また,近年建築物の構造が,木造からS造,RC造へと移行しそれらのストックに占める割合が増加したことにより将来廃棄物の内訳も砂利石材が60%(1995年)から65%,鉄が8%(1995年)から12%へと割合が増加している.結果として,物質投入量に以前と比べ大きな差は見られないが,ストックからのフローが138万tに増加する.また,現在のリサイクル率をあてはまると,建築物の解体に伴い発生する83万tもの建設副産物の巨大な受け皿が必要となることが明らかとなった.
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