研究概要 |
平成16年度の研究では,都市内の物質循環における持続性を視覚的に表現するために,平成15年度の研究をもとに,地理情報システムを用いた視覚化を試みた.具体的には,2020年のマテリアルフローの推計結果をGISデータに反映させ,OPM(Over-flow Potential Map)を作成する.マテリアルフロー推計時に作成されたマップレイヤーとしてインフロー,ストック,アウトフローなどがあるが,本研究におけるOPMとは,建築物や道路を壊したときに発生するアウトフローより,道路からリサイクルとして投入する量を差し引いたものを町丁目ごとに表したものである.これにより,マテリアルフローを面的に把握できる.つまり,将来どの地域に建設物の更新が集中し,どれだけのアウトフローが発生するかを明らかにすることができる.ケーススタディ対象都市として取り上げた北九州市では小倉北区,八幡西区で高いオーバーフローの可能性があることが分かった.これらの地区では,今後大量の建設副産物が発生し更新サイクルが集中するために,膨大なオーバーフローの受け皿として道路の維持補修だけでは困難な状態となることが視覚的に把握することができるようになった.また,OPMを用いて,行き場のない建設副産物を道路の基層として利用した場合,道路の高さをどの程度増せばよいか考えてみる.オーバーフローの総量を道路の総面積で割ることにより各地区の道路面の高さ上昇を推計した.現状のダウンリサイクリングが都市内で継続された場合,2020年において,行政区単位で比較すると,最小は若松区の+0.21mとなり,最大は集積度の最も高い小倉北区の+0.89mとなった.
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