研究課題
九州地区で発生する焼酎粕量の約半分量の33万4千tonを占める鹿児島県では、10万8千tonの焼酎粕が海洋投棄処分されているが、2004年4月に「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(海防法)」が一部改正され、2007年までに施行されることになった。このため、焼酎粕の海洋投棄は今後全面禁止の方向に進むと考えられ、焼酎メーカーにとってはひっ迫した課題となっている。筆者等は焼酎粕を植物由来の有効な資源としてとらえ、焼酎粕から紙(エコ紙)を作製する技術を確立し、その技術を利用して土木・農業用資材の開発を検討している。本年度は、昨年度の結果を受けて、エコポットを用いた果菜類の栽培を行い、ポットの諸特性を明らかにした。また、エコポット側面から切出した試験片を圃場に埋設し、定期的にポットの成分分析、物性試験及び形状調査を行い、土壌におけるエコポットの分解特性を明らかにした。1)エコポットを用いたミニトマトの生育試験果菜類の中で生育管理がし易いミニトマトを供試作物に用いて、エコポット、古紙ポット、及びポリポットで栽培試験を実施し、従来の古紙ポット、ポリポットと資材特性を比較することで、エコポットの有効性と栽培期間の長い作物に対する肥料効果を確認した。2)エコポットの土壌分解試験エコポットを埋設した場合、埋設後150日程度で崩壊しやすい状態となった。また、エコポットの面積消失は埋設360日目頃から始まり、その後指数的変化を示し、埋設670日目には完全に消失(100%)した。このことから、エコ紙が完全に土壌還元されるためには約2年を要することがわかった。以上の結果から、エコポットはポリポット、古紙ポットに比べ、直接土壌に定植できる点、苗を植えかえる手間が省ける点、廃棄物(ゴミ)を発生させない点等で優位性が高いと考えられた。さらに、エコポットは肥料効果があり、その効果は長期にわたって持続することがわかった。
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Resource Conservation and Recycling In press
土木学会論文集 No.804VII-37
ページ: 83-92
Plant nutrition for food security, human health and environmental protection
ページ: 918-920